2008年3月 9日 (日)

進行卵巣がんに対するインターフェロンγ-bの開発を中止

20062月、米InterMune社は進行卵巣がんに対する標準治療へのインターフェロンγ-b製剤 アクチミュン®の併用によって有意に死亡率が増加することが発表され、第III相試験が中止された。この試験結果が229日付けのGynecology Oncology誌オンライン速報版にて発表された。

対象

進行性卵巣がん(原発性腹膜がん73例を含む)847

比較

1)      パラプラチン®+タキソール®+アクチミュン® 3週毎に1回投与を6サイクル

2)      パラプラチン®+タキソール® 3週毎に1回投与を6サイクル

試験デザイン

無作為化比較試験、第III相試験

試験名:GRACES

結果

l  生存期間(中央値)

Ø  1,138日(アクチミュン®群) vs 未達(標準治療群)

Ø  ハザード比:1.4595%信頼区間:1.15-1.83

l  死亡率

Ø  39.7%(アクチミュン®群) vs 30.4%(標準治療群)

l  重篤な有害事象

Ø  48.5%(アクチミュン®群) vs 35.4%(標準治療群)

l  重篤な血液毒性

Ø  34.5%(アクチミュン®群) vs 22.7%(標準治療群)

 

Gynecol Oncol. 2008 Feb 29

 

 

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2008年2月25日 (月)

ジェムザール、再発卵巣がん治療薬として良い結果が得られず

わが国においてドキシル® (一般名:リポソーマルドキソルビシン)は卵巣がんの治療薬として現在、承認審査中であるが、イタリアではドキシルを対照薬としてジェムザール®の再発または他剤無効卵巣がんに対する成績がJournal of Clinical Oncolgy220日号に発表された。

結果は全生存率でドキシルが有意に良好であったなどジェムザール®がドキシル®を優ることはなかった。

対象

再発または他剤無効卵巣がん 153

比較

1)      ドキシル® 40mg/m2 28日ごと (n=76)

2)      ジェムザール® 1,000mg/m2281サイクルの1815日目に投与 (n=77)

試験デザイン

無作為化比較試験、第II相試験

結果

l  Grade3/4の手足症候群がドキシル®群でより多く発現した

Ø  ドキシル® (6%)  vs ジェムザール®(0%)p=0.061

l  Grade3/4の好中球減少症がジェムザール群で有意に多く発現した(p=0.007)

l  奏効率

Ø  ドキシル群® (16%)  vs ジェムザール®(29%)p=0.056

l  治療効果持続期間は両群間で有意差なし(p=0.411)

l  全生存期間はドキシル®群で有意に良好であった(p=0.048)

l  QOLはドキシル®群でより良好であった

J Clin Oncol 2008; 26, 890-896

 

 

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2007年12月14日 (金)

万有製薬もHPVワクチンの承認を申請

万有製薬は、1213日、子宮頸がんを予防する4価ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの承認を申請したことを発表した。

承認申請した4HPVワクチンは、子宮頸がん発症の主な原因であるHPV1および18型ならびに尖圭コンジローマ発症の主な原因であるHPV6及び11型の感染を予防するワクチン。

この4HPVワクチンは、米国メルク社が開発したもので、20066月に米国、メキシコで承認された、これまでにEU27ヵ国、オーストラリア、台湾、カナダ、ブラジル、韓国など85ヵ国で承認されている。

オーストラリアにおいては、政府によって、1226歳までの全ての女性がこの4HPVワクチンを無償で接種できる予防接種プログラムが導入されている。

万有製薬プレスリリース

[社説]

子宮頸がん予防のHPVワクチンについては本年9月にグラクソ・スミスクライン社が先駆けて承認申請している()

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2007年12月 5日 (水)

再発卵巣がんに期待できるレジメン -ハイカムチン+サリドマイド-

再発上皮卵巣がんに対し、ハイカムチン®にサリドマイドを追加することで奏効率が向上し、無増悪生存期間が有意に延長できることが、1130日付けのCancer誌オンライン速報版において発表された。

対象

プラチナ製剤投与後に再発上皮卵巣がん 69

比較

1)        ハイカムチン® 1.25mg/m2+サリドマイド 200mg/

2)        ハイカムチン® 1.25mg/m2

ハイカムチン®21日サイクルにおいて、15日目に投与された

試験デザイン

無作為化比較試験

結果

l  奏効率

Ø  47%(サリドマイド併用群) vs 21%(対照群)p=0.03

l  完全寛解率

Ø  30%(サリドマイド併用群) vs 17%(対照群)

l  無増悪生存期間

Ø  6ヵ月(サリドマイド併用群) vs 4ヵ月(対照群)p=0.02

l  全生存期間

Ø  19ヵ月(サリドマイド併用群) vs 15ヵ月(対照群)p=0.67

l  毒性は両群とも同様

Cancer Published Online: 30 Nov 2007

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2007年11月28日 (水)

卵巣がんにおいて術後化学療法を施行すべき患者が予め見出せるか

進行卵巣がんの標準レジメンはタキサン系薬剤と白金製剤の併用療法であるが、その5年生存率は45%程度であり、その有効性には大きな個人差がみられる。英国においてこのレジメンを施行すべき患者を治療前にスクリーニングするためにゲノム薬理学的解析を試みられたが、明かな遺伝学的特性は見出されなかった。この結果はJournal of Clinical Oncology1010日号に発表されている。

対象

進行卵巣がん 914

 腫瘍縮小術後、パラプラチン®+タキサン系薬剤の併用療法を施行

研究デザイン

無作為化比較試験に登録した症例の追加解析

参考

l  タキサン系薬剤の有用性に関連すると考えられる遺伝子多型候補

Ø  ABCB1, ABCC1, ABCC2, ABCG2, CDKN1A, CYP1B1, CYP2C8, CYP3A4, CYP3A5, MAPT, TP53

l  白金製剤の有用性に関連すると考えられる遺伝子多型候補

Ø  ABCC2, ABCG2, ERCC1, ERCC2, GSTP1, MPO, XRCC1

結果

1.        有効性と毒性に有意な相関を示す遺伝子多型は見出せなかった。

2.        既報の遺伝子多型と有用性の関連性を再現することはできなかった。

Journal of Clinical Oncology 2007; 25:4528-4535

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2007年11月23日 (金)

進行卵巣がんにおけるエンドキサン超高用量投与、失敗に終わる

G-CSF製剤グラン®を用いることでエンドキサン®の投与量を3倍以上に増量したCEP療法(エンドキサン®+ファルモルビシン®+ブリプラチン®)は、通常用量のCEP療法と比較し、毒性が高くなり、効果は改善されなかったことがBritish Journal of Cancer11月号に発表された。

対象

進行卵巣がん 164

比較

1)        標準CEP療法:エンドキサン®500mg/m2+ファルモルビシン®50mg/m2+ブリプラチン®75mg/m23週毎に6サイクル

2)        厳格CEP療法:エンドキサン®1,800mg/m2+ファルモルビシン®50mg/m2+ブリプラチン®75mg/m2 3週毎に6サイクル+グラン®5g/kg 10日間投与

試験デザイン

無作為化比較試験

結果

l  追跡期間(中央値)84ヵ月

l  無増悪生存期間

Ø  標準CEP療法:15.9ヵ月

Ø  厳格CEP療法:14.8ヵ月

l  全生存期間

Ø  標準CEP療法:33ヵ月

Ø  厳格CEP療法:30ヵ月

l  grade3-4好中球減少症を除いて、抗生物質の投与、grade3-4血小板減少症、貧血、悪心-嘔吐、下痢、口腔粘膜炎は厳格CEP療法で有意に多く発現した。

Br J Cancer.2007;97:1200-1205.

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2007年11月17日 (土)

子宮体がんの術後補助化学療法の新たな可能性

婦人科悪性腫瘍化学療法研究機構(JGOG)は、術後再発分類が中リスク、高リスクの子宮体がんにおける補助療法としてエンドキサン®+アドリアシン®+ブリプラチン®による化学療法は全骨盤外部照射と同程度の無増悪生存期間を示し、放射線療法に代替する有用性があることを119日付けのGynecologic Oncology誌のオンライン速報版に発表した。

対象

術後再発リスク分類で中リスクから高リスクの子宮体がん 385

比較

1.        CAP療法(エンドキサン®+アドリアシン®+ブリプラチン® 4週間ごとに3コース以上

l  エンドキサン® 333mg/m2

l  アドリアシン® 40mg/m2

l  ブリプラチン® 50mg/m2

2.        全骨盤外部照射

試験デザイン

無作為化比較試験

試験名:JGOG2033

結果

l  無増悪生存期間、全生存期間は両治療群間で同等

Ø  5年無増悪生存率

ü  CAP療法群:81.8%

ü  全骨盤外部照射群:83.5%

Ø  5年生存率

ü  CAP療法群:86.7%

ü  全骨盤外部照射群:85.3%

l  stage ICのうち 70歳以上またはG3の類内膜腺癌、stage IIIIIAで定義したより高リスク(n=120)では、無増悪生存期間、全生存期間はCAP療法が優れていた。

Ø  5年無増悪生存率 p=0.024

ü  CAP療法群:83.8%

ü  全骨盤外部照射群:66.2%

ü  ハザード比:0.44

Ø  5年生存率 p=0.0006

ü  CAP療法群:89.7%

ü  全骨盤外部照射群:73.6%

ü  ハザード比:0.24

Gynecol Oncol. 2007 In Press, Corrected Proof, Available online 9 November 2007

[私説]

術後再発リスク分類で中リスク、高リスクの場合には放射線療法を追加することが標準治療とされている。

今回の試験は、2005年のASCOにて発表されており、この結果を受けて、子宮体癌治療ガイドラインでは、「中リスク症例に対する術後補助化学療法は、放射線治療と同等あるいはそれ以上に有効である可能性がある(グレードC)」と推奨されている。

stage IIIIV期症例で術後残存腫瘍2cm以下の症例に対しては、AP療法(ブリプラチン®+アドリアシン®)が全腹部照射より無増悪生存期間、全生存期間が良好であったことが報告されている。この結果を受けて、子宮体癌治療ガイドラインでは、「高リスク症例術後残存腫瘍2cm以下の症例に対して,術後化学療法を行うことが奨められている(グレードB)」と推奨されている。

なお、低リスク症例に対する術後補助化学療法は現在のところ奨められない。

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2007年10月19日 (金)

子宮頸がん検診 後進国 日本への警告

子宮頸がんのスクリーニングに関する発表が相次いでいる。New England Journal of Medicine1018日号に発表された無作為比較試験の結果によると、30代半ばの女性に対する子宮頸がんのスクリーニングにおいてヒトパピローマウイルス(HPV)検査とパパニコロー(Pap)検査を併用することで、その後の検査で検出される子宮頸部上皮内がんの発生率が低下するとのこと。

対象

3238 歳の女性 12,527

比較

1)        HPV検査+Pap検査

2)        Pap検査

試験デザイン

無作為化比較試験

結果

l  登録時に子宮頸部上皮内がん(グレード23)が認められた女性の割合:

Ø  HPV検査+Pap検査がPap検査単独より51%高かった(95%信頼限界:13-102

l  その後のスクリーニング検査で子宮頸部上皮内がん(グレード23)が認められた女性の割合:

Ø  HPV検査+Pap検査がPap検査単独より41%低かった(95%信頼限界:4-64

l  グレード3の病変が認められた女性の割合:

Ø  HPV検査+Pap検査がPap検査単独より47%低かった(95%信頼限界:2-71

N Engl J Med 2007;357:1589-1597

[私説]

子宮頸がんのスクリーニングにおけるHPV検査の有用性を認める成績が10月に入ってからLancet誌に1報、NEJM誌に2報と相次いで発表された。その3つの研究結果は次のようになる。

[1] HPV検査+細胞診

細胞診単独に比べて2回目以降のグレード3子宮頸がんの発生率が低下(Lancet この記事を読む)

[2] HPV検査

細胞診(Pap検査)に比べてグレード2または3の子宮頸がん検出の感度が高く、HPV検査+Pap検査を併用した場合の感度は100%であった(NEJM 2007;357:1579-1588 この記事を読む)

[3] HPV検査+細胞診(Pap検査)

細胞診(Pap検査)単独に比べて2回目以降のグレード2または3子宮頸がんの発生率が低下(NEJM 2007;357:1589-1597)

 

日本では子宮頸がんの検診受診率が低い。自治体による検診の受診率は14%であり、企業による検診を含めてもわずか22%に過ぎないのが現状。

さらに子宮頸がん検診では細胞診単独が中心である。細胞診によるがんまたは前がん病変の発見率はおよそ80%であるが、HPV検査を併用すると検診の精度がほぼ100%になると言われいてる。米国の子宮頸がん検診のガイドラインでは細胞診、HPV検査の両方が陰性の場合は、その後3年間は検診の必要がないとされている。このような現状から、日本における子宮頸がん検診は世界から取り残されていることは一目瞭然である。

今回、HPV検査の有用性を示す無作為比較化試験の結果が、NEJMLancetと言った名高い医学誌に立て続けに発表されたことを契機に日本も細胞診とHPV検査による検診の受診率が向上してほしい。

 

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2007年10月18日 (木)

子宮頸がんの検査はHPV検査が優れている

ヒトパピローマウイルス(HPV)検査はパパニコロー(Pap)検査と比較して、子宮頸部上皮内癌を検出する上でより高い感度を有することがカナダのモントリオールとセントジョンズらの女性を対象とした無作為化比較試験より明らかにされ、New England Journal of Medicine1018日号に発表された。

対象

3069 歳の女性 10,154

比較

1)      HPV 検査

2)      Pap 検査

試験デザイン

無作為化比較試験

結果

l  グレード2 または 3 の子宮頸部上皮内癌に対する感度:

1)      HPV 検査 94.6%95%信頼限界:84.2-100

2)      Pap 検査 55.4%95%信頼限界:33.6-77.2

p0.01

l  グレード2 または 3 の子宮頸部上皮内癌に対する特異度

1)      HPV 検査  94.1%95%信頼限界:93.4-94.8

2)      Pap 検査  96.8%95%信頼限界96.397.3

p0.001

l  両検査を併用した場合

感度 100%、特異度  92.5%

N Engl J Med 2007;357:1579-1588

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2007年10月 6日 (土)

HPV-DNA検査によって子宮頸がんが早期発見

ヒトパピローマウイルス(HPV-DNA検査によってgrade3以上の子宮頸部上皮内腫瘍(CIN3+)を早期発見できることが104日付けのLancet誌オンライン速報版に発表された。

対象

29-56歳の女性 

比較

1)        細胞診+HPV-DNA検査 8,575

2)        細胞診 8,580

試験デザイン

無作為化比較試験

結果

l  ベースラインの検査においてHPV-DNA検査施行群でCIN3+病変がより多く検出された(70%)

688575(施行群) vs 408,580(非施行群)
95%
信頼限界 15151p=0.007

l  次の検査時に検出されたCIN3+病変は、HPV-DNA検査施行群で有意に少なかった。

248,413(施行群) vs 548,456(非施行群)
95%
信頼限界  2872p=0.001

l  それ以降の検査においては、検出されたCIN3+病変数は両群間に差はなかった。

The Lancet Early Online Publication, 4 October 2007

 

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2007年9月30日 (日)

子宮頸がん予防ワクチン「セルバリックス®」の承認を申請

グラクソ・スミスクライン株式会社は、926日、子宮頸がん予防ワクチン「セルバリックス®を承認申請したことを発表した。子宮頸がんを予防するためのヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの承認申請は国内初。

ワクチンは、子宮頸がん発症の原因であるHPVのうち、最も検出頻度の高い二つのタイプであるHPV16型と18型の感染およびそれらに起因する前がん病変を予防する目的で開発された。

このワクチンはこれまで海外において4万人以上を対象とした臨床試験で効果が検証され、HPV16型と18型により起こる前がん病変に対して、5年半までの間100%の予防効果を示し、高い安全性のあることも確認されている。

日本において子宮頸がんは毎年約7,000人が診断されており、毎年約2,500人の女性が死亡している。発症率は、50歳代以上においては減少傾向にあるが、若い女性、特に2030歳代では大幅な増加傾向にある。

子宮頸がんは持続的なHPVの感染が主な原因とされており、このウイルス感染は女性にとってきわめて一般的である。7080%の女性が一生のうちに少なくとも一度は子宮頸がんに関連するHPVに感染するとされており、感染のリスクは年齢と共に高まる。

HPVには100種類以上の異なる遺伝子タイプが存在し、そのうちの約15種類のタイプが子宮頸がんの原因とされている。その中でもHPV16型と18型を合わせると、世界における子宮頸がんの原因の70%を占める。

セルバリックス®は、20075月にオーストラリアにおいて1045歳の女性を対象に承認され、先日924日に欧州においてEU当局よりHPV16型と18型により起こる子宮頸部の前がん病変並びに子