2008年2月 8日 (金)

B細胞性非ホジキンリンパ腫の新たな治療 ゼヴァリンが承認を取得

バイエル薬品は、125日、厚生労働省より、ゼヴァリン®CD20陽性の再発又は難治性の低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫およびマントル細胞リンパ腫への適用として製造販売承認を取得したことを発表した。

CD20と呼ばれる蛋白質に選択的に結合するCD20モノクローナル抗体と放射性同位元素イットリウム90 (90Y) を結合させたもの。

ゼヴァリン®は抗CD20モノクローナル抗体の腫瘍認識能と、90Yが発する放射能による腫瘍破壊能を併せ持ち、非放射免疫療法に比べて高い有効性を示す。

リツキサン®との無作為化比較試験では奏効率は80%とリツキサン(56%)より優れていたが、無増悪生存期間の有意な延長は認められなかった(J Clin Oncol 2002;20:2453-2463)。また、リツキサン耐性例にも有効である(J Clin Oncol 2002;20:3262-3269)

なお、イットリウム90の物理的半減期が 64.1時間(2.7日)と比較的短いため、ゼヴァリンは受注生産となる。

   「ゼヴァリンイットリウム(90Y)静注用セット」(一般名:イブリツモマブチウキセタン塩化イットリウム90)、「ゼヴァリンインジウム(111In) 静注用セット」(一般名:イブリツモマブチウキセタン塩化インジウム111)」

バイエル薬品 プレスリリース

 

 

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2008年1月16日 (水)

B細胞腫瘍にはR-CHOPの6サイクルが最適

CHOP-14レジメン(6サイクル)にリツキサン®を加えたR-CHOP-14レジメン(6サイクル)B細胞腫瘍における無イベント生存率および全生存率を改善することが115日付けのLancet Oncology誌オンライン速報版で発表された。

対象

高齢の非ホジキンリンパ腫(B細胞腫瘍) 1,222

比較

1)      6サイクルCHOP-14

2)      8サイクルCHOP-14

3)      6サイクルR-CHOP-14

4)      8サイクルR-CHOP-14

    CHOP:エンドキサン®+アドリアシン®+オンコビン®+プレドニン®

    R-CHOPCHOP+リツキサン®

    CHOP-14CHOP14日ごと投与

    R-CHOP-14R-CHOP14日ごと投与

試験デザイン

無作為化比較試験

試験名:RICOVER-60

結果

l  3年無イベント生存率

Ø  6サイクルCHOP-14群:47.2%

Ø  8サイクルCHOP-14群:53.0%5.8%改善 vs 6サイクルCHOP

Ø  6サイクルR-CHOP-14群:66.5%19.3%改善 vs 6サイクルCHOP

Ø  8サイクルR-CHOP-14群:63.1%15.9%改善 vs 6サイクルCHOP

l  3年生存率

Ø  6サイクルCHOP-14群:67.7%

Ø  8サイクルCHOP-14群:66.0%-1.7%改善 vs 6サイクルCHOP

Ø  6サイクルR-CHOP-14群:78.1%10.4%改善 vs 6サイクルCHOP

Ø  8サイクルR-CHOP-14群:72.5%4.8%改善 vs 6サイクルCHOP

l  3年無イベント生存率における相対危険度( vs 6サイクルCHOP-14)

Ø  8サイクルCHOP-14群:0.76(95%信頼区間:0.60-0.95p=0.0172)

Ø  6サイクルR-CHOP-14群:0.51(95%信頼区間:0.40-0.65p<0.0001)

Ø  8サイクルR-CHOP-14群:0.54(95%信頼区間:0.43-0.69p=0.0172)

l  3年生存率における相対危険度( vs 6サイクルCHOP-14)

Ø  8サイクルCHOP-14群:0.63(95%信頼区間:0.46-0.85p=0.0031)

Ø  6サイクルR-CHOP-14群:0.50(95%信頼区間:0.38-0.67p<0.0001)

Ø  8サイクルR-CHOP-14群:0.59(95%信頼区間:0.45-0.77p=0.0001)

The Lancet Oncology Early Online Publication, 15 January 2008

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2008年1月 9日 (水)

Stage IAまたはIIAホジキンリンパ腫にはやはり放射線療法+ABVDレジメンを選択せよ

Stage IAまたはIIAホジキンリンパ腫における完全寛解率および全生存率に関してABVDレジメンとEVEレジメンでは差は認めなかったが、EVEレジメンは非再発生存率および治療成功率の観点からはABVDレジメンと比べて推奨できないことが16日付けのAnnals of Oncology誌オンライン速報版に掲載された。

対象

65歳未満のbulky病変をもつなど好ましくないStage IAまたはIIAホジキンリンパ腫 181

比較

1)        ABVD群:ABVDレジメン+放射線療法

2)        EVE群:EVEレジメン+放射線療法

ABVDレジメン

アドリアシン®+ブレオ®+エクザール®+ダカルバジン®

EVEレジメン

ファルモルビシン®+エクザール®+ベプシド®

試験デザイン

無作為化比較試験

結果

l  完全寛解率 p=NS

Ø  93%( ABVD) vs 92%(EVE)

l  5年非再発生存率 p<0.005

Ø  95%( ABVD) vs 78%(EVE)

l  5年治療成功率 p<0.005

Ø  90%( ABVD) vs 73%(EVE)

l  全生存率は両群間で差がなかった

Annals of Oncology Advance Access published online on January 6, 2008

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2007年12月27日 (木)

中悪性度リンパ腫へのhigh CHOEPレジメンはベネフィットなし

中悪性度リンパ腫においてCHOEPレジメンの忍容性が認められる最大投与量まで漸増するhigh-CHOEPレジメンは、CHOEPより毒性が強く、有効性は差がなかったことが、126日付けのAnnals of Oncology誌オンライン速報版に発表された。

対象

予後良好な中悪性度リンパ腫(1860) 389

比較

CHOEP-21 194

エンドキサン®+アドリアシン®+オンコビン®+ベプシド®+プレドニン®

High-CHOEP 195

幹細胞移植をせずにCHOEP-21の忍容性が認められる最大投与量まで漸増するレジメン

エンドキサン®(1,400mg/m2)+アドリアシン® (65mg/m2)+オンコビン® (2mg)+ベプシド® (175mg/m2×3)+プレドニン® (100ng×5)

試験デザイン

無作為化比較試験

試験名:DSHNHL Study

結果

l  3年無イベント生存率:有意差なし、p=0.734

Ø  high-CHOEP64%

Ø  CHOEP-2167%

l  3年生存率:有意差なし、p=0.849

Ø  high-CHOEP83%

Ø  CHOEP-2187%

l  低リスク群、中リスク群のいずれにもhigh-CHOEPレジメンのベネフィットは認められなかった。

l  high-CHOEPレジメンはCHOEO-21レジメンより毒性が強かった

Ø  grade3/4の毒性の発生率:p<0.001

high-CHOEP100%

CHOEP-2187.2%

Ø  血小板減少症:p<0.001

high-CHOEP80.8%

CHOEP-219.6%

Ø  感染症:p<0.001

high-CHOEP35%

CHOEP-2111%

Ø  治療関連死:p=0.03

high-CHOEP3.1%

CHOEP-210%

Annals of Oncology Advance Access published online on December 6, 2007

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2007年12月16日 (日)

セヴァリンが進行性濾胞性リンパ腫の無増悪生存期間を2年間延長させた

独バイエル ヘルスケア社は9日、同社が開発しているセヴァリン®(一般名:90Y-イブリツモマブチウキセタン)の地固め療法が、進行性濾胞性リンパ腫の無増悪生存期間を有意に延長したことを示すデータが第49回米国血液学会会議(ASH)で発表されたことを発表した。

これはFIT試験の結果によるるもので、無増悪生存期間の中央値が、無治療群では13.5ヵ月であったのに対して、ゼヴァリン®群では37ヵ月であった(p<0.0001)

対象

寛解導入化学療法を受けた後に完全寛解(CR)または部分寛解(PR)を示した進行性濾胞性リンパ腫(Stage IIIまたはIV

比較

1)        セヴァリン®による地固め療法

2)        無治療

試験デザイン

無作為化比較試験、第III相試験

試験名:FIT(First-line Indolent Trial)

結果

無増悪生存期間(中央値) p<0.0001

l  ゼヴァリン®群:37ヵ月

l  無治療群:13.5ヵ月

バイエル薬品 プレスリリース

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アラノンジー発売 250mg 52,540円

グラクソ・スミスクライン社は14日、再発又は難治性のT細胞急性リンパ性白血病、T細胞リンパ芽球性リンパ腫治療薬「アラノンジー®静注用250mg(一般名:ネララビン)が薬価収載され、発売を開始したことを発表した。

アラノンジー®は、これまで標準的な治療法が確立されていなかった「再発又は難治性のT細胞急性リンパ性白血病(T-ALL)T細胞リンパ芽球性リンパ腫(T-LBL)」の治療薬として単剤での有効性が認められた初めての薬剤。

通常、成人には、ネララビンとして1,500mg/m2112時間以上かけて点滴静注する。これを135日目に投与し、その後16日間休薬する。21日間を1クールとして、繰り返す。

小児には、ネララビンとして650mg/m2111時間以上かけて点滴静注する。これを5日間連日投与し、その後16日間休薬する。21日間を1クールとして、繰り返す。

薬価は 「アラノンジー®静注用250mg 250mg 50mL 1 52,540円。すなわち、身長170cm、体重70kgの成人の場合、1クール21日間で約170万円となる。

米国では2004年に希少疾病用医薬品に指定され、2005年に承認を取得。欧州では20056月に希少疾病用医薬品に指定され20078月に承認されている。わが国でも20066月に希少疾病用医薬品の指定を受け、海外臨床試験の成績に基づき承認申請、20071019日に承認を取得した(→詳しくはこちら)

グラクソ・スミスクライン プレスリリース

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2007年12月 1日 (土)

タシグナがEUで承認 -慢性骨髄性白血病-

1128日、スイス ノバルティス社は「タシグナ®」(一般名:ニロチニブ塩酸塩水和物)が、欧州連合(EU)において、慢性骨髄性白血病(CML)の「グリベック®」を含む既治療に抵抗性または不耐容のCMLに対する新規抗がん剤として承認されたことを発表した。

「タシグナ®」のEUにおける承認は、慢性期のフィラデルフィア染色体陽性CML患者さんの49%で奏効したデータに基づくもので、多くの症例でタシグナ投与開始後3ヵ月以内にこの効果が現れている。

今回の承認は、米国およびスイスにおける承認に続くもの(→詳しくはこちら)EUの全27加盟国に加えてアイスランドとノルウェーに適用されることになる。 「タシグナ®」は現在、EU、米国、スイスを含む37ヵ国で承認されており、日本では2007626日に承認申請を行っている。

ノバルティス プレスリリース

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2007年11月25日 (日)

再発・難治性多発性骨髄腫の新治療

再発・難治性多発性骨髄腫に対して、サリドマイドの類似構造体であるレブリミド®(一般名:レナリドマイド)とデカドロン®(一般名:デキサメタゾン)の併用投与によって、デカドロン®単独投与に比べて無増悪期間が有意に延長できたことがNew England Journal of Medicine1122日号に2報発表された。

対象

これまで1種類以上の治療を受けたことがある多発性骨髄腫 351

比較

1)         レブリミド® 25mg+デカドロン® 40mg

2)         プラセボ+デカドロン® 40mg

レブリミド®(またはプラセボ)の投与

28 日サイクルの 121 日目に投与

デカドロン®の投与

最初の4サイクルは経口デカドロン® 40 mg 14 日目、912 日目、1720日目に投与し、4 サイクル終了後は 14 日目にのみ投与した。

試験デザイン

無作為化比較試験

III相試験

結果

l          無増悪期間

Ø         レブリミド®群:11.3ヵ月 vs プラセボ群:4.7ヵ月(p<0.001

l          奏効率(完全寛解または部分寛解)

Ø         レブリミド®群:60.2% vs プラセボ群:24.0%p<0.001

l          完全寛解率

Ø         レブリミド®群:15.9% vs プラセボ群:3.4%p<0.001

Ø         全生存期間:ハザード比 0.66p0.03

l          レブリミド®群で10%以上に発現したグレード 3 または 4 の有害事象

Ø         好中球減少:レブリミド®群:29.5% vs プラセボ群:2.3%

Ø         血小板減少:レブリミド®群:11.4% vs プラセボ群:5.7%

Ø         静脈血栓塞栓症:レブリミド®群:11.4% vs プラセボ群:4.6%

N Engl J Med.2007;357:2123-2132

対象

これまで1種類以上の治療を受けたことがある多発性骨髄腫 353

比較

3)         レブリミド® 25mg+デカドロン® 40mg

4)         プラセボ+デカドロン® 40mg

レブリミド®(またはプラセボ)の投与

28 日サイクルの 121 日目に投与

デカドロン®の投与

最初の4サイクルは経口デカドロン® 40 mg 14 日目、912 日目、1720日目に投与し、4 サイクル終了後は 14 日目にのみ投与した。

試験デザイン

無作為化比較試験

III相試験

結果

l          無増悪期間

Ø         レブリミド®群:11.1ヵ月 vs プラセボ群:4.7ヵ月(p<0.001

l          奏効率(完全寛解、ほぼ完全寛解または部分寛解)

Ø         レブリミド®群:61.0% vs プラセボ群:19.9p<0.001

l          完全寛解率

Ø         レブリミド®群:14.1% vs プラセボ群:0.6p<0.001

l          全生存期間

Ø         レブリミド®群:29.6ヵ月 vs プラセボ群:20.2ヵ月(p<0.001

l          グレード 3 または 4 の有害事象

Ø         レブリミド®群:85.3% vs プラセボ群:73.1%

l          有害事象による中止率

Ø         レブリミド®群:19.8% vs プラセボ群:10.2%

l          好中球減少:レブリミド®群:41.2% vs プラセボ群:4.6%p<0.001

l          静脈血栓塞栓症:レブリミド®群:14.7% vs プラセボ群:3.4%p<0.001

N Engl J Med.2007;357:2133-2142

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2007年11月11日 (日)

ホジキンリンパ腫の標準治療が変わる

ホジキンリンパ腫に対して、予後良好の特徴を有する病態には、化学療法+浸潤領域への放射線療法を、予後不良の特徴を有する病態には4サイクルの化学療法+浸潤領域への放射線療法を標準治療とすべきであることを支持する結果が、New England Journal of Medicine118日号に掲載された。

対象

未治療Stage I-IIホジキンリンパ腫 1,538

予後良好例試験 (H8-F試験) 542

予後不良例試験 (H8-U試験) 996

比較

H8-F試験

1)        3サイクルMOPP +ABVIFRT(浸潤領域への放射線療法; involved field Irradiation)

2)        EFRT (亜全リンパ節照射単独療法;extended field Irradiation)

H8-U試験

1)        6サイクルMOPP +ABV+ IFRT

2)        4サイクルMOPP +ABV+ IFRT

3)        4サイクルMOPP +ABV+ EFRT

MOPP:オンコビン®+メクロレタミン+プロカルバジン+プレドニン®

ABV:アドリアシン®+ブレオ®+エクザール®

試験デザイン

無作為化比較試験

試験名:H8-F試験、H8-U試験

結果

H8-F試験

l  5年無イベント生存率(推定値)

Ø  3サイクルMOPP +ABVIFRT98%

Ø  EFRT74%

Ø  p=0.001

l  10年全生存率(推定値)

Ø  3サイクルMOPP +ABVIFRT97%

Ø  EFRT92%

Ø  p=0.001

H8-U試験

l  5年無イベント生存率(推定値)

Ø  3群で同等

Ø  6サイクルMOPP +ABV+ IFRT84%

Ø  4サイクルMOPP +ABV+ IFRT88%

Ø  4サイクルMOPP +ABV+ EFRT87%

l  10年全生存率(推定値)

Ø  6サイクルMOPP +ABV+ IFRT88%

Ø  4サイクルMOPP +ABV+ IFRT85%

Ø  4サイクルMOPP +ABV+ EFRT84%

l  Grade3または4の血液毒性

Ø  化学療法施行期間:49%

Ø  放射線療法施行期間:9%

l  Grade3または4の好中球減少症:430例;43%(H8-U試験)

[私説]

従来、限局期のホジキンリンパ腫の治療の中心は放射線療法であり、3040Gyの亜全リンパ節照射単独療法(EFRT; extended field Irradiation)が行われてきた。EFRTは浸潤領域への放射線療法(IFRT; involved field Irradiation)より無再発率が良好とメタアナリシスの結果は示している。EFRTは予後良好例に対する標準的な治療の1つとされてきた。

近年は放射線療法と化学療法の併用療法が治療の中心となりつつある。2004年に、ABVD 4サイクルに、EFRTまたはIFRTを比較した結果、同程度の無再発生存率、全生存率を示したことからABVD 4サイクル+IFRTがホジキンリンパ腫の標準治療と1つなっている。ABVDレジメンはABVD:ダカルバジン®を加えたもの。一方、MOPP療法はかつて進行期のホジキンリンパ腫の標準治療であった。しかし、ABVD療法との比較試験の結果より、現在の標準治療はABVD療法となっている。

今回得られた知見は、予後良好の特徴を有する病態には、MOPP +ABVIFRTが標準治療の1つであったEFRT単独療法を凌駕したことから新たな標準療法として推奨する根拠となった。一方、予後不良の特徴を有する病態には4サイクルのMOPP +ABVIFRT