2008年4月15日 (火)

前立腺がんの照射前補助療法は4ヵ月より28ヵ月を選択

局所進行前立腺がんの放射線療法の術前補助療法として、内分泌療法を4ヵ月で終了するより、28ヵ月間継続する方が、生存率を除く10年後の予後が有意に改善することが414日付けのJournal of Clinical Oncology誌オンライン速報版に発表された。

対象

局所進行前立腺がん(T2c-T4) 1,554

比較

1)      STAD(短期間アンドロゲン抑制療法)RT群:ゾラデックス®3.6mg皮下注+オダイン® 250mg×3/日を4ヵ月投与後、放射線療法

2)      LTAD(長期間アンドロゲン抑制療法)RT群:ゾラデックス®3.6mg皮下注+オダイン® 250mg×3/日を4ヵ月投与した後、さらに継続してゾラデックス®3.6mg皮下注を24ヵ月投与後、放射線療法

試験デザイン

無作為化比較試験、第III相試験

試験名:RTOG92-02

結果

l  追跡期間(中央値)

Ø  STADRT群:11.31ヵ月 vs LTADRT群:11.27ヵ月

l  無病生存率

Ø  STADRT群:13.2% vs LTADRT群:22.5%p<0.0001

l  全生存率

Ø  STADRT群:51.6% vs LTADRT群:53.9%p=0.3590

l  癌特異生存率

Ø  STADRT群:83.9% vs LTADRT群:88.7%p=0.0042

l  局所進行率

Ø  STADRT群:22.2% vs LTADRT群:12.3%p<0.0001

l  遠隔転移率

Ø  STADRT群:22.8% vs LTADRT群:14.8%p<0.0001

l  生化学的再燃率

Ø  STADRT群:68.1% vs LTADRT群:51.9%p<0.0001

 

JCO Early Release, published online ahead of print Apr 14 2008

 

 

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2008年1月24日 (木)

放射線療法へのホルモン療法の併用効果は、併発症のない限局性前立腺がんに限定されるのか

高リスクの限局性前立腺がんにおいて放射線療法単独より、放射線療法とホルモン療法の併用療法が生存率を改善することはこれまでに報告されてきたが、この有効性は併発症がない、または軽度の患者さんに限定されるかもしれないことがJAMA123日号に発表された。著者はこの知見について、結論付けるにはさらなる評価が必要と述べている。

対象

高リスクの限局性前立腺がん 206

比較

1)      放射線療法+ホルモン療法(6ヵ月間)

2)      放射線療法単独

試験デザイン

無作為化比較試験

結果

l  追跡期間(中央値):7.6年間

l  全症例における解析

Ø  8年生存率

放射線療法+ホルモン療法:74% vs 放射線療法単独:61%

Ø  全死亡者数

q  放射線療法+ホルモン療法:30

q  放射線療法単独:44

ハザード比:1.8(95%信頼区間:1.1-2.9p=0.01)

Ø  前立腺がん特異死亡者数

q  放射線療法+ホルモン療法:4

q  放射線療法単独:14

ハザード比:4.1(95%信頼区間:1.4-12.1p=0.01)

l  併発症なしまたは軽度の併発症を有する症例における解析(n=157)

Ø  8年生存率

放射線療法+ホルモン療法:90% vs 放射線療法単独:64%

Ø  全死亡者数

q  放射線療法+ホルモン療法:11

q  放射線療法単独:31

ハザード比:4.2(95%信頼区間:2.1-8.5p<0.001)

l  中等度または重度の併発症を有する症例における解析(n=49)

Ø  8年生存率

放射線療法+ホルモン療法:25% vs 放射線療法単独:54%

Ø  全死亡者数

q  放射線療法+ホルモン療法:19

q  放射線療法単独:13

ハザード比:0.54(95%信頼区間:0.27-1.10p=0.08)

 

JAMA 2008;299:288-295

 

 

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2008年1月10日 (木)

ホルモン抵抗性前立腺がんにタキソテール+プレドニン投与を選択せよ

ホルモン抵抗性前立腺がんに対し、プレドニン®併用下におけるタキソテール®3週間毎)とノバトロン®を比較したTAX327試験の追加報告がJournal of Clinical Oncology110日号に発表された。

TAX327試験の結果は、New England Journal of Medicine誌にて優れたタキソテール®はノバトロン®より延命効果を示し、疼痛や血清PSA値、QOLを改善することが発表されている。

今回は20073月までに新たに死亡が確認された310例を加えた計867例の解析結果であり、タキソテール®の生存に関するベネフィットはさらに拡大したことを伝えている。

対象

ホルモン抵抗性転移性前立腺がん 1,006

比較

1)        D3P群:タキソテール® 75mg/m2 3週毎投与+プレドニン® 5mg

2)        D1P群:タキソテール® 30mg/m2毎週投与+プレドニン® 5mg

3)        MP群:ノバトロン®12mg/m2+プレドニン® 5mg

試験デザイン

無作為化比較試験

試験名:TAX327

結果

l  生存期間(中央値) p=0.004DP3vs MP群)

Ø  D3P群:19.2ヵ月

Ø  D1P群:18.6ヵ月

Ø  MP群:16.3ヵ月

l  3年生存率

Ø  D3P群:18.6%

Ø  D1P群:16.6%

Ø  MP群:13.5%

J Clin Oncol 2008;26:242-245

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2008年1月 7日 (月)

進行前立腺がんの放射線療法を施行する前に2ヵ月間のホルモン療法を選択せよ

RTOG(Radiation Therapy Oncology Group)は、局所進行前立腺がんの放射線療法前2ヵ月間に引き続き照射期間中2ヵ月間ホルモン療法を加えることによって、10年という長期間において、前立腺がんによる死亡、遠隔転移、PSA再発、無病生存率を有意に改善できることを発表した。この結果は12日付けのJournal of Clinical Oncology誌オンライン速報版にて発表されている。

対象

局所進行前立腺がん(T2-4

比較

1)        ネオアジュバント療法+放射線療法

2)        放射線療法単独

    ネオアジュバント療法(照射前補助療法)

ゾラデックス®3.6mg/4週+オダイン®250mg×3/日の併用療法を照射前に2ヵ月、照射期間中に2ヵ月

試験デザイン

無作為化比較試験

試験名:RTOG 8610

結果

l  10年生存率

Ø  43%(ネオアジュバント療法群)vs 34%(放射線療法単独群)

l  全生存期間(中央値)

Ø  8.7年(ネオアジュバント療法群 vs 7.3年(放射線療法単独群)

l  全生存に関してネオアジュバント療法群で良好であったものの有意差なし

l  癌特異死亡率

Ø  23%(ネオアジュバント療法群) vs 36%(放射線療法単独群)、p=0.01

l  遠隔転移率

Ø  35%(ネオアジュバント療法群) vs 47%(放射線療法単独群)、p=0.006

l  無病生存率

Ø  11%(ネオアジュバント療法群) vs 3%(放射線療法単独群)、p<0.001

l  生化学的再発率

Ø  65%(ネオアジュバント療法群) vs 80%(放射線療法単独群)、p<0.001

l  致死的心ベントに両治療群間で差は認められなかった

JCO Early Release, published online ahead of print Jan 2 2008

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2007年12月11日 (火)

カソデックスによる全摘前の術前補助療法は有効

前立腺全摘除術施行前にカソデックス®を投与することによって、切除断片陽性例を減少させられることが、Urology10月号に発表された。

対象

Stage T2-T3a前立腺がん 119

比較

1)        カソデックス®術前投与群

Ø  カソデックス®150mg/日を120日間投与後、前立腺全摘除術施行

2)        全摘単独群

Ø  前立腺全摘除術施行単独

結果

l  切除断片陰性例

Ø  カソデックス®術前投与群で3.5倍多い(オッズ比:3.595%信頼区間:1.4-8.74p=0.011)

Ø  Stage pT3例ではカソデックス®術前投与群で5.4倍多い(オッズ比:5.495%信頼区間:1.9-15.5p=0.002)

l  EGFR発現レベル

Ø  カソデックス®術前投与群で2.8倍多い(オッズ比:2.895%信頼区間:1.3-6.2p=0.014)

l  Her2/neu発現レベル

Ø  カソデックス®術前投与群で2.7倍多い(オッズ比:2.795%信頼区間:1.2-5.8p=0.022)

Urology 2007; 70:728-733

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2007年11月14日 (水)

肥満があると、前立腺がんによる死亡率が高くなる

診断時に肥満であった前立腺がん患者では、肥満でない患者より前立腺がんに関連した死亡率が高くなることが1112日付けのCancer誌オンライン速報版に発表された。今後、肥満が前立腺がん死を助長するメカニズムの解明や、診断後の減量が前立腺がんの予後を改善させるかが検証されれば、前立腺がん対策の選択肢が増えるだろう。

対象

放射線療法(±ゾラデックス®)を受けていた局所進行前立腺がん 788 [解析症例数]

解析デザイン

無作為化比較試験の多変量解析

試験名:RTOG85-31

結果

l  前立腺がん関連5年死亡率 p=0.005

Ø  BMI < 25 kg/m26.5%

Ø  BMI 25 -30 kg/m213.1%

Ø  BMI30 kg/m212.2%

l  多変量解析の結果、BMIが高いほど、前立腺がん関連死が有意に高いことが分かった。

l  ハザード比 BMI 25 -30 kg/m21.5295%信頼区間:1.02-2.27p=0.04

l  BMI30 kg/m21.6495%信頼区間:1.01-2.66p=0.04

l  前立腺がん以外による死亡率、全死亡率とBMIとの間に相関がみられなかった。

Cancer Published Online: 12 Nov 2007

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2007年10月30日 (火)

ホルモン不応性前立腺がんに対してタキソテール®にロカルトロール®をアドオンする試み

アンドロゲン不応性転移性前立腺がんに対し、タキソテール®にロカルトロール®高用量製剤をアドオンすると、生存期間が延長する可能性を示唆する結果がUrologic Oncology9-10月号に発表された。

対象

アンドロゲン不応性転移性前立腺がん 250

比較

1)        DN-101群:タキソテール® 36mg/m2 1回静注を3週間+ロカルトロール®高用量製剤(DN-101) 45μg

2)        プラセボ群:タキソテール® 36mg/m2 1回静注を3週間+プラセボ

試験デザイン

無作為化、二重盲検比較試験

結果

l  6ヵ月以内のPSA反応率

Ø  DN-101群:58% vs プラセボ群:49%p=0.16

l  PSA反応率

Ø  DN-101群:63% vs プラセボ群:52%p=0.07

l  プラセボ群の死亡に対するDN-101群のハザード比:0.67(p=0.04)

l  生存期間(中央値)

Ø  DN-101群:24.5ヵ月(推算値) vs プラセボ群:16.4ヵ月

l  Grade3または4の有害事象発現率

Ø  DN-101群:58% vs プラセボ群:70%p=0.07

l  主なGrade3または4の有害事象

Ø  好中球減少症

DN-101群:10% vs プラセボ群:8%

Ø  疲労感

DN-101群:8% vs プラセボ群:16%

Ø  感染症

DN-101群:8% vs プラセボ群:13%

Ø  高血糖

DN-101群:6% vs プラセボ群:12%

Urol Oncol. 2007 Sep-Oct;25(5):445-6.

[私説]

アンドロゲン不応性の前立腺がんに対して、タキソテール®+ステロイドまたはタキソテール®+エストラサイト®、ノバントロン®+ステロイド併用に比べて有意に生存期間の延長が示されている。また、1016日付けのLancet Oncologyオンライン速報版には、タキソテール®などの化学療法に加えてエストラサイト®を併用することで生存率を有意に増加させられることが報告された(記事)。

日本ではまだタキソテール®の前立腺がんの適応は申請段階ではあるが、海外ではタキソテール®をベースとした併用療法の有効性が示されている。ロカルトロール®高用量製剤をタキソテール®に併用するレジメンの有用性は、今回の試験では「生存期間」が主要評価項目でなかったため、さらなる検証は必要であるが、有用な治療レジメン候補が見つかったと言える。

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2007年10月17日 (水)

再燃前立腺がんに対するケモにエストラサイト®をアドオンする

LH-RHアゴニストなどによる去勢後、再燃した前立腺がんに対し、化学療法に加えエストラサイト®を併用することで生存率を有意に増加させられることがメタアナリシスの結果から示された。これは1016日付けのLancet Oncologyオンライン速報版に掲載された。

対象

去勢後、再燃した前立腺がん 605

比較

1)        化学療法+エストラサイト®

2)        化学療法

化学療法:タキソテール®、タキソール®、イグゼンプラ® (一般名:イキサベピロン)、エクザール®

研究デザイン

6つの無作為化比較試験のメタアナリシス

結果

l  化学療法にエストラサイト®を併用することで有意に生存率が改善した。

ハザード比:0.7795%信頼限界:0.63-0.93p=0.008

l  化学療法にエストラサイト®を併用することで1年後の生存率が絶対的に9.5%改善した。

l  エストラサイト®の併用によってPSA増悪のリスクが減少した。

ハザード比:0.5395%信頼限界:0.38-0.72p<0.0001

l  エストラサイト®の併用によってPSA増悪までの期間が有意に延長した。

ハザード比:0.7495%信頼限界:0.58-0.94p<0.0001

l  grade3-4の塞栓症が化学療法+エストラサイト®塞栓症を発症した症例が多かった(化学療法:1271 vs 併用:512275例)

The Lancet Oncology Early Online Publication, 16 October 2007

[私説]

去勢後再燃した前立腺がんの予後は極めて悪い。そもそも、現在、保険適応が認められている化学療法剤も少ない。

920日付けのCancer誌で、エンドセリン受容体拮抗薬Xinlay®(アトラセンタン)がんの進行を遅らせることができなかったことが発表されたように、新しい治療薬も良好な成績が得られていない(→この記事を読む)。

2004年にタキソテール®+エストサイト®の併用療法によってノバントロン®+ステロイドより中央値で2ヵ月ほどではあるが生存期間を延長させた臨床成績がNEJM誌に発表されている。

現在、わが国ではタキソテール®が追加適応を申請している段階だ。タキソテール®が承認されると、保険診療の範囲内で今回の結果が活かされる。

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2007年10月 1日 (月)

COX2の過剰発現は前立腺がんの予後を予測する

放射線療法およびホルモン療法施行中の前立腺癌患者においてCOX-2の過剰発現が高いほど、治療がうまくいかないことがLancet Oncology10月号に発表された。

対象

放射線療法およびホルモン療法施行中の前立腺癌患者 586

RTOG92-02試験に参加した患者のうちCOX-2発現が認められた症例)

研究デザイン

無作為化比較試験の追加解析

結果

l  多変量解析の結果、COX-2の検出は(1)生化学的再発、(2)遠隔転移、(3)何らかの治療失敗を予測する独立した因子であった。

l  ハザード比

Ø  生化学的再発 1.07395%信頼限界:1.018-1.131p=0.008

Ø  遠隔転移 1.18195%信頼限界:1.077-1.295p=0.0004

Ø  治療失敗 1.06895%信頼限界:1.015-1.124p=0.011

l  COX-2の過剰発現が高いほど、治療が成功しない

Lancet Oncology 2007; 8:912-920

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2007年9月29日 (土)

切除断片陰性例に対する前立腺摘除術後の放射線療法は不要

前立腺全摘除術後、切除断片陰性例に対する放射線療法は不要である可能性がJournal of Clinical Oncology 920日号に掲載された。

対象

前立腺全摘除術後、pT3 かつ/または切除断片陰性例 1,005

方法

無作為化比較試験

比較

1)        待機療法 503

2)        アジュバント放射線療法(60Gy502

結果

l  術後アジュバント放射線療法の効果は切除断片陽性例で再発予防効果が高い。

Ø  再発予防(生化学的無増悪生存)効果
 切除断片陽性例(291/1,000例)vs 切除断片陰性例(88/1,000例)p<0.01

Ø  ハザード比
 切除断片陽性例 0.3895%信頼限界: