2008年4月10日 (木)

非小細胞肺がんにおけるパラプラチン+タキソール+タルグレチン

パラプラチン®とタキソール®の併用療法は進行性非小細胞肺がんの標準治療の1つであるが、さらにタルグレチン®(一般名:ベキサロテン)を併用することで、grade3または4の高トリグリセリド血症が認められた集団においては生存期間が改善することが、Journal of Clinical Oncology410日号に発表された。

同様の試験が同号にも発表され、シスプラチン+ナベルビン®+タルグレチン®3剤併用療法でも同様の傾向がみられたが、この3剤併用療法では有意差を認めるまでに至っていない(→)。

なお、タルグレチン®は皮膚浸潤性T細胞リンパ腫の治療薬としてエーザイが販売する予定。

対象

胸水貯留を認めるstageIIIBまたはstageIV非小細胞肺がん 612

比較

1)      タルグレチン®群:パラプラチン+タキソール®+タルグレチン® 400mg/m2

2)      対照群:パラプラチン+タキソール®

試験デザイン

無作為化比較試験、第III相試験

試験名:SPIRIT II

結果

l  全生存期間において両群間で有意な差を認めなかった

l  タルグレチン®投与によってgrade 3/4の高トリグリセリド血症が認められた集団においてタルグレチン®群の生存期間が延長した

Ø  タルグレチン®群:12.4ヵ月 vs 対照群:9.2ヵ月(p=0.014

l  タルグレチン®群で有意に多かったgrade 3/4の有害事象

Ø  脂質代謝異常、好中球減少症、疲労、白血球減少症、関節痛、下痢

 

J Clin Oncol 2008;26:1879-1885

 

 

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2008年4月 9日 (水)

非小細胞肺がんにおけるシスプラチン+ナベルビン+タルグレチン

進行性または転移性非小細胞肺がんの標準治療の1つとしてナベルビン®とシスプラチンの併用療法があるが、これらにタルグレチン®(一般名:ベキサロテン)を併用することで生存期間を延長できるか検証するためSPIRIT I試験が実施された。

しかし、タルグレチン®の追加によって生存期間は改善できず、計画外のレトロスペクティブ解析にて重度の高トリグリセリド血症が認められた集団で生存期間が長い傾向にあるにとどまった。

この結果は、Journal of Clinical Oncology410日号に発表された。なお、タルグレチン®は皮膚浸潤性T細胞リンパ腫の治療薬としてエーザイが販売する予定。

対象

胸水貯留を認めるstageIIIBまたはstageIV非小細胞肺がん 623

比較

1)      タルグレチン®群:シスプラチン+ナベルビン®+タルグレチン® 400mg/m2

2)      対照群:シスプラチン+ナベルビン®

試験デザイン

無作為化比較試験、第III相試験

試験名:SPIRIT I

結果

l  全生存期間において両群間で有意な差を認めなかった

l  計画外のレトロスペクティブ解析にてgrade 3/4の高トリグリセリド血症が認められた集団においてタルグレチン®群の生存期間が長い傾向にあった

Ø  タルグレチン®群:12.3ヵ月 vs 対照群:9.9ヵ月(p=0.08

l  対照群で有意に多かったgrade 3/4の有害事象

Ø  白血球減少症

l  タルグレチン®群で有意に多かったgrade 3/4の有害事象

Ø  脂質代謝異常、甲状腺機能低下症、頭痛

 

J Clin Oncol 2008;26:1886-1892

 

 

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2008年4月 5日 (土)

日本におけるザクティマの用量設定試験

血管内皮細胞増殖因子受容体(VEGFR)と上皮成長因子受容体(EGFR)の二重阻害薬であるザクティマ®(一般名:バンデタニブ)の日本における用量設定試験の結果がJournal of Thoracic Oncology3月号に発表された。

化学療法を実施したことがある局所進行性、転移性または再発性非小細胞肺がん症例53例を対象としたこの試験では、単剤でザクティマ®100mg/日、200mg/日、300mg/日を11回経口投与し、2nd line治療としての奏効率を評価した。53例中7例、すなわち13.2%に奏功し、用量別ではそれぞれ17.6%5.6%16.7%の奏効率を示した。

対象

化学療法を実施したことがある局所進行性、転移性または再発性非小細胞肺がん 53例 (2nd line)

比較

1)      ザクティマ® 100mg/日 11回経口投与

2)      ザクティマ® 200mg/日 11回経口投与

3)      ザクティマ® 300mg/日 11回経口投与

試験デザイン

無作為化比較試験、二重盲検比較試験

結果

l  奏効率

Ø  ザクティマ® 100mg/日群 17.6%3/17例)

Ø  ザクティマ® 200mg/日群 5.6%1/18例)

Ø  ザクティマ® 300mg/日群 16.8%3/18例)

l  主な有害事象

発疹、下痢、高血圧、無症候性QT延長

 

J Thorac Oncol. 2008;3:386-393.

 

ザクティマ®については、2007920日のJournal of Clinical Oncology誌に白金製剤無効例に対し、単剤投与ではなく、タキソテール®との併用療法が、タキソテール®単独療法より無増悪生存期間を延長したことが発表された(→)。この試験におけるザクティマ®の用量は100mg300mgを比較しているが、無増悪生存期間はそれぞれ、18.7週、17.0週と300mg投与の優位性は認められていない。また、この試験でも、ザクティマ®の主な有害事象として下痢、発疹、無症状のQT延長が発現している。

 

 

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2008年4月 2日 (水)

化学放射線療法+タキソテール後のイレッサによって生存期間が短くなる

切除不能非小細胞肺がんで、化学放射線療法に続いてタキソテール®が投与され、これらの治療終了後においても、まだ進行が認められていなかった場合、さらにイレッサ®の追加治療を考えるか。

このような場合、イレッサ®の投与によってむしろ生存期間が短縮したことが331日付けのJournal of Clinical Oncology誌オンライン速報版に発表された。

対象

次の治療が完了後、進行を認めなかった切除不能非小細胞肺がん 243

化学放射線療法後タキソテール® 75mg/m2 3サイクル

化学放射線療法

1サイクル28日として

シスプラチン 50mg/m21日目と、8日目に

エトポシド 50mg/m21日目と、5日目に投与

これを2サイクル

同時期に放射線療法1回線量1.82.0Gy、総線量として61Gyを照射

比較

1)      イレッサ® 250mg/m2

2)      プラセボ

試験デザイン

無作為化比較試験、第III相試験

試験名:SWOG0023

結果

l  追跡期間(中央値)27ヵ月

l  全生存期間

Ø  イレッサ:23ヵ月 vs プラセボ:35ヵ月、p=0.013

l  副作用と関連した死亡症例数

Ø  イレッサ:2% vs プラセボ:0%

(生存期間の短縮は腫瘍の進行によるもので、副作用関連死によるものではない)

 

JCO Early Release, published online ahead of print Mar 31 2008

 

 

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2008年3月28日 (金)

非小細胞肺がんの2nd line治療としてのEGFワクチン

非小細胞肺がんの2nd line治療として上皮成長因子(EGF)ワクチンは安全で、抗体反応が良好に得られた例、血清EGF値が低下した例、60歳未満の若年者では有意に生存率が改善することが、Journal of Clinical Oncology320日号に発表された。

対象

1st line治療として化学療法を受けたことがあるstage IIIBIV非小細胞肺がん 80

比較

1)      EGFワクチン

2)      best supportive care

試験デザイン

無作為化比較試験、第II相試験

結果

l  副作用発現率は25%未満であり、grade1または2であった

l  ワクチン群の51.3%で良好な抗体反応が認められた

l  ワクチン群の64.3%で大幅な低下が認められた

l  抗体反応が良好に得られた例では、得られなかった例より生存率有意に高かった

l  血清EGF値が低下した例では、低下しなかった例より生存率有意に高かった

l  ワクチン群ではbest supportive care群に比べ生存率が高い傾向にあった

l  60歳未満の若年者においては、ワクチン群でbest supportive care群に比べ生存率が有意に高かった

 

J Clin Oncol 2008; 26:1452-1458

 

 

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2008年3月20日 (木)

タボセプトによってタキソール+シスプラチンの末梢神経障害が軽減

あすか製薬は、18日、タボセプト®(一般名:ディメスナ)の抗がん剤による末梢神経障害の軽減を検証する国内第III相臨床試験の結果を発表した。これによると、タボセプトの投与によって、進行性非小細胞肺がんの1st line治療としてタキソール®およびシスプラチンの併用療法を受けている症例において、有意な差は認められなかったものの末梢神経障害の発現率が半減し、全生存期間約40 日延長したとのこと。

対象

1st line治療として3 週毎にタキソール®およびシスプラチンの併用治療を受けている進行性非小細胞肺がん

比較

1)      タボセプト®

2)      プラセボ

試験デザイン

無作為化比較試験、二重盲検比較試験、第III相試験

結果

l  末梢神経障害発現

Ø  タルセプト®投与によって重度な散在性または蓄積性の末梢神経障害の発現率が半減(有意差なし)

Ø  末梢神経障害発現を理由として化学療法を中止した事例は、タボセプト®群では見られなかった

l  タルセプト®投与によって患者本人によるQOL スコアが改善

l  全生存期間

Ø  タルセプト®投与によって約40 日延長

l  有害事象

Ø  タルセプト®投与によって化学療法由来の腎障害および消化器毒性(特に嘔吐)が有意に軽減

Ø  タルセプト®投与によって化学療法由来の貧血が有意に軽減

 

あすか製薬 プレスリリース(PDF)

 

 

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2008年3月13日 (木)

非小細胞肺がんにアリムタの高用量を投与しても通常用量と生存率は変わらない

局所進行または転移性非小細胞肺がんの2nd line治療においてアリムタ®の高用量投与の有用性を検証する試験が進行中であったが、中間解析の結果、高用量投与による生存率改善の可能性が低く、有害事象の発現率が高くなるため試験は早期中止された。この結果は217日付けのAnnals of Oncology誌のオンライン速報版に発表された。

対象

白金製剤による治療歴のある局所進行または転移が認められた非小細胞肺がん 588

比較

1)      500mg群:アリムタ® 500gm3週毎に静注

2)      900mg群:アリムタ® 900gm3週毎に静注

試験デザイン

無作為化比較試験、第III相試験

結果

l  生存期間

Ø  6.7ヵ月(500mg群)vs 6.9ヵ月(900mg)

Ø  ハザード比:1.013295%信頼区間:0.837-1.226

l  無増悪生存期間

Ø  2.6ヵ月(500mg群)vs 2.8ヵ月(900mg)

Ø  ハザード比:0.968195%信頼区間:0.817-1.147

l  最良腫瘍反応率

Ø  7.1%500mg群)vs 4.3%(900mg)p=0.1616

Ann Oncol. 2008 Feb 17

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2008年3月 4日 (火)

非小細胞肺がんにおける「シスプラチンとナベルビン」の新しいレジメン

進行非小細胞肺がんの標準的な併用療法である「シスプラチン+ナベルビン®」の2つのレジメンが比較した結果、ナベルビン®を毎週1回投与するより、18日目に投与(9-21日目は休薬)する方が忍容性が高く、有用であることが、226日付けのLung Cancer誌オンライン速報版に発表された。このレジメンは進行非小細胞肺がんや術後補助療法の標準レジメンとなり得るものであるとしている。

対象

Stage IIIbVI非小細胞肺がん 278

比較

1)      毎週投与群:4週間1サイクルとして、シスプラチン100mg/m21日目)+ナベルビン®25mg/m2(1815日目)投与

2)      18日目投与群:3週間1サイクルとして、シスプラチン80mg/m21日目)+ナベルビン®30mg/m218日目)投与

試験デザイン

無作為化比較試験、第III相試験

試験名:G.O.I.M.

結果

l  奏効率:34%(毎週投与) vs 32%(1-8日目投与)

l  治療効果持続期間:4.5ヵ月(毎週投与) vs 4.6ヵ月(1-8日目投与)p=0.818

l  全生存期間:9.45ヵ月(毎週投与) vs 10ヵ月(1-8日目投与)p=0.259

l  1年生存率:31%(毎週投与) vs 36%(1-8日目投与)

l  2年生存率:10%(毎週投与) vs 11%(1-8日目投与)

q毒性

Ø  重篤な好中球減少症:68%(毎週投与) vs 34%(1-8日目投与) p=0.0001

Ø  発熱性好中球減少症:12%(毎週投与) vs 5%(1-8日目投与) p=0.026

Ø  治療中止率:24%(毎週投与) vs 10%(1-8日目投与) p=0.0037

Lung Cancer. 2008 Feb 26

 

 

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2008年2月26日 (火)

Bcl-2アンチセンス薬ジェナセンスの標準治療への追加は小細胞肺がんに効果なし

シスプラチンとエトポシドの2剤併用によるPE療法は、進展型小細胞肺がんの標準治療の1つである。このPE療法にBcl-2アンチセンス薬であるジェナセンス®を追加投与し、その有用性を従来のPE療法と比較した第II相試験の結果が、Journal of Clinical Oncology220日号に掲載された。

しかし、ジェナセンス®は血液毒性が強く、死亡リスクが2倍以上となるなど有用性が認められないという残念な結果となった。

対象

化学療法を受けたことがない進展型小細胞肺がん 56

比較

1)      PE+ジェナセンス療法:シスプラチン+エトポシド+ジェナセンス®

2)      PE療法:シスプラチン+エトポシド

試験デザイン

無作為化比較試験、第II相試験

結果

l  Grade3-4の血液毒性

Ø  PE療法+ジェナセンス®療法(88%) vs PE療法(60%)、p=0.05

l  奏効率

Ø  PE療法+ジェナセンス®療法(61%) vs PE療法(60%

l  ジェナセンス®の併用により治療奏功維持生存率が低下傾向となり、全生存率は有意に低下した。

Ø  治療奏功維持生存率 ハザード比1.79p=0.07

Ø  全生存率 ハザード比2.13p=0.02

 

J Clin Oncol 2008;26: 870-876

 

 

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2008年2月17日 (日)

タルセバ、進行非小細胞肺がんにおいて標準レジメンを上回れず

進行非小細胞肺がんの1st line治療としてタルセバ®の連日経口投与が標準的化学療法より無増悪生存期間が劣る傾向にあったことがJournal of Clinical Oncology220日号に掲載された。

TC療法(パラプラチン®+タキソール®)は進行非小細胞肺がんの標準的な化学療法の一つである。上皮成長因子受容体(EGFR)阻害薬であるタルセバ®の連日経口投与がTC療法に代わる治療法となり得るかを検証するため第II相試験が行われたが、一次評価項目である無増悪生存期間でTC療法を上回ることができなかった。また、二次評価項目の一つである全生存期間ではTC療法がタルセバ®より有意に長いという結果となった。

対象

切除不能進行非小細胞肺がん(PS=2) 103

比較

1)      タルセバ®(n=52)

タルセバ®150mg/日 病勢が進行するまで連日経口投与

2)      TC療法群(n=51)

パラプラチン® (AUC=6)およびタキソール®200mg/m21日目に静注し、その後20日間休薬。この3週間を1サイクルとして、4サイクル実施

試験デザイン

無作為化比較試験、第II相試験

結果

l  無増悪生存期間(中央値)

Ø  タルセバ®群:1.9ヵ月 vs TC療法群:3.5ヵ月

Ø  ハザード比:1.45(95%信頼区間:0.98-2.15p=0.06)

l  全生存期間(中央値)

Ø  タルセバ®群:6.5ヵ月 vs TC療法群:9.7ヵ月

Ø  ハザード比:1.73(95%信頼区間:1.09-2.73p=0.018)

l  部分寛解率

Ø  タルセバ®群:2% vs TC療法群:12%

l  性別、タルセバ®による発疹の発現、組織学的要因、喫煙歴はタルセバ®のアウトカムに有意な影響を与えた

l  毒性

Ø  タルセバ®群で有意に多く発現した有害事象:発疹、下痢

Ø  TC療法群で有意に多く発現した有害事象:嘔吐、脱毛、末梢神経障害、疲労感

J Clin Oncol 2008;26:863-869

 

 

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2008年2月 3日 (日)

進行非小細胞肺がんの化学療法において腫瘍の縮小より病勢を進行させないことが大事

進行非小細胞肺がんに対する白金製剤ベースの化学療法の8週後における治療効果判定では、奏効率(CR+PR)より、「SD(安定)」を加えた病勢コントロール率(CR+PR+SD)の方が、全生存期間と強く相関することがJournal of Clinical Oncology120日号に発表された。この結果は生存期間を考える上で、病勢を進行させないことがより重要であることを示唆している。

対象

進行非小細胞肺がん 984

比較

1)      8週後に奏効 (CR+PR)が得られた患者

2)      8週後に病勢コントロールが(CR+PR+SD)得られた患者

解析デザイン

Southwest Oncology Group3つの白金製剤ベースの化学療法の有用性を検証した無作為化比較試験に登録した進行非小細胞肺がんのpooled解析

結果

l  奏効率:27%(260/984)

l  病勢コントロール率:62%(8週時の生存者