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2011年7月

2011年7月31日 (日)

ゾメタは多発性骨髄腫における骨関連イベントを減少させる

新たに診断された多発性骨髄腫における骨関連イベント発生頻度は、クロドロン酸よりゾメタで少なく、初期からゾメタを用いることを支持する臨試験結果がLancet Oncology誌8月号に発表された(インタネット速報版では7月18日に発表済み)。主要評価項目である全生存期間、無増悪生存期間、全奏効率の結果は、Lancet誌2010年12月11日号(オンライン版2010年12月4日号)に掲載されている。
■対象
 
 新たに診断された多発性骨髄腫 1,960例
 
■比較
  1. ゾメタ 981例
  2. ボネフォス(クロドロン酸) 979例
■試験デザイン
  • 無作為化比較試験、第III相試験
  • [主要評価項目] 全生存期間、無増悪生存期間、全奏効率
  • [試験名]  MRC Myeloma IX
■結果
  • 骨関連事象 
    1. ゾメタ:27% (n=265)
    2. ボネフォス:35% (n=346)
      HR:0.74(95%信頼区間:0.62-0.87、p=0.0004)
  • 骨関連事象(骨病変あり) 
    1. ゾメタ:35% (n=233)
    2. ボネフォス:43% (n=292)
      HR:0.77(95%信頼区間:0.65-0.92、p=0.0038)
  • 骨関連事象(骨病変なし)   
    1. ゾメタ:10% (n=29)
    2. ボネフォス:48% (n=17)
      HR:0.53(95%信頼区間:0.33-0.84、p=0.0068)
  • 脊椎骨折発生の頻度
    • ゾメタ vs ボネフォス:5% vs 9%、p=0.0008
  • その他の骨折の発生頻度
    • ゾメタ vs ボネフォス:5% vs 7%、p=0.04
  • 新たな溶骨性病変の発生頻度
    • ゾメタ vs ボネフォス:5% vs 10%、p<0·0001
 
 
 
 
[Editorial]
Myeloma IX試験の結果は、2010年のASCOで発表されており、その結果を受けてノバルティス社がプレスリリースしている。ボネフォスは日本では未発売の第一世代の経口ビスホスホネート製剤。ゾメタの日本における適応は「多発性骨髄腫による骨病変」など。
 
 

リツキサン+ベルケイドの併用が、リツキサン単独療法より濾胞性リンパ腫の無増悪生存期間を延長

リツキサン未治療または反応性の再発・難治性の濾胞性リンパ腫に対し、リツキサン+ベルケイド併用療法は、リツキサン単独療法と比較し、無増悪生存期間を延長させたことが、Lancet Oncology誌8月号に発表された(インタネット速報版では4月19日に発表済み)。
■対象
 
 リツキサン未治療または感受性の濾胞性リンパ腫(grade 1-2) 674例
 
■比較
  1. リツキサン+ベルケイド
  2. リツキサン
■試験デザイン
  • 無作為化比較試験、第III相試験
  • [主要評価項目] 無増悪生存期間
  • [試験名]  LYM-3001
■結果
  • 無増悪生存期間
    1. リツキサン+ベルケイド:12.8ヵ月 (95%信頼区間 11.5—15.0)
    2. リツキサン:11.0ヵ月 (95%信頼区間 9.1—12.0)
      HR:0.82(95%信頼区間:0.68-0.99、p=0.039)
  • 5サイクル 実施可能であった患者の割合
    1. リツキサン+ベルケイド:71%
    2. リツキサン:72%
  • 重度(グレード3以上)の有害事象
    1. リツキサン+ベルケイド:46%
    2. リツキサン:21%
    • 好中球減少症
      1. リツキサン+ベルケイド:11%
      2. リツキサン:4%
    • 感染症
      1. リツキサン+ベルケイド:11%
      2. リツキサン:4%
    • 下痢
      1. リツキサン+ベルケイド:7%
      2. リツキサン:なし
    • 帯状疱疹
      1. リツキサン+ベルケイド:4%
      2. リツキサン:1%未満
    • 悪心・嘔吐
      • リツキサン+ベルケイド:3%
      • リツキサン:1%未満
    • 血小板減少症
      1. リツキサン+ベルケイド:3%
      2. リツキサン:1%未満
  • 末梢神経障害
    1. リツキサン+ベルケイド:17%(グレード3以上:3%)
    2. リツキサン:1%(グレード3以上:なし)
 
 
[Editorial]
この試験結果は2010年12月に第52回米国血液学会年次総会において発表されたもので(武田薬品プレスリリース)、この結果を受けて、米Millennium Pharmaceuticals社は2011年4月、ベルケイドの剤型追加と適応拡大の申請をFDAに行った(武田薬品プレスリリース)。わが国では2010年11月に未治療多発性骨髄腫について申請、マントル細胞リンパ腫に対して第III相試験が行われているが、濾胞性リンパ腫についての開発については不明。
 
 
 

2011年7月30日 (土)

腫瘍血管破壊剤vadimezan、非小細胞肺がんの二次治療で生存期間延長できず

進行非小細胞肺癌の二次治療薬としてプラチナベースに腫瘍血管破壊剤vadimezanを加えても、生存期間を延長できなかったことが、8月1日付けのJCO誌に発表された(インタネット速報版では6月27日に発表済み)。
■対象
 
 化学療法による一次治療中または、治療後に進行した進行非小細胞肺がん(stage IIIBまたはIV) 1,299例
 
■比較
  1. vadimezan+タキソール+パラプラチン  649例
  2. プラセボ+タキソール+パラプラチン 650例
■試験デザイン
  • 無作為化プラセボ対照比較試験、第III相試験
  • [主要評価項目] 生存期間
  • [試験名] ATTRACT-2
■結果
  • 生存期間
    1. vadimezan群:13.4ヵ月
    2. プラセボ群:12.7ヵ月
      HR:1.01(95%信頼区間:0.85-1.19、p=0.535)
      中間解析において有意な延長を達成する可能性が低いことが示されたため中止 
  • 無増悪生存期間
    1. vadimezan群:5.5ヵ月
    2. プラセボ群:5.5ヵ月
      HR:1.04(p=0.727)
  • 無増悪生存期間
    1. vadimezan群:25%
    2. プラセボ群:25%
      (p=1.0)
    3. vadimezan群で、より多く報告された有害事象
      • Grade4の好中球減少症 27%(プラセボ群:19%)
      • 注射部位の疼痛 10%(プラセボ群:5%)
     
     
    [Editorial]
    本試験の中間解析結果、2010年11月11日にノバルティス社は、ASA404(vadimezan)の臨床試験プログラムの中止を発表している(ノバルティス社プレスリリース)。第II相試験では化学療法群の生存期間(中央値)が8.8ヵ月に対し、ASA404群は14.0ヵ月であった。
    なお、一次治療で同じく化学療法(タキソール+パラプラチン)に、ASA404を加える群とプラセボを加える群を比較したATTRACT-1は2010年3月に中間解析の結果、生存期間の改善効果が認められないことから試験中止を発表していた。
     
     
     

    高齢の多形性膠芽腫患者へのテモダール投与:生存期間(中央値):25週

    テモダールが投与された高齢の多形性膠芽腫患者の生存期間は25週間、無増悪生存期間は16週間であったことが8月1日付のJCO誌に発表された(インタネット速報版では6月27日に発表済み)。
    ■対象
     
     術後のKarnofsky パフォーマンススコア(KPS)が70未満で、70歳以上の多形性膠芽腫 70例
     
    ■治療
    • テモダール 150-200mg/㎡ 4週ごとに5日間連日投与
    ■試験デザイン
    • 第II相試験
    • [主要評価項目] 生存期間
    ■結果
    • 生存期間:25週(95%CI 19〜28週)
      • MGMT遺伝子のプロモーターにメチル化がある例:31週(ない例:19週)
    • 無増悪生存期間:16週 (95%CI、10〜20週)
      • MGMT遺伝子のプロモーターにメチル化がある例:26週(ない例:11週)
    • Karnofsky パフォーマンススコア(KPS)10点以上の改善:33%
    • セルフケア可能者(KPS≧70):26%
    • 重度の有害事象
      • 好中球減少症 13%
      • 血小板減少症 14%
     
     
     
     

    タルセバが標準化学療法と比較して無増悪生存期間を延長 -EGFR変異のある進行非小細胞肺癌の一次治療-

    EGFR変異のある進行非小細胞肺癌の一次治療として、タルセバ単独療法は、標準化学療法と比較し、無増悪生存期間を延長させたことが、Lancet Oncology誌8月号に発表された(インタネット速報版では7月22日に発表済み)。
    ■対象
     
     治療歴のない進行非小細胞肺がん(stage IIIBまたはIV) 165例
     
    ■比較
    1. タルセバ
    2. ジェムザール+パラプラチン
    ■試験デザイン
    • 無作為化オープン比較試験、第III相試験
    • [主要評価項目] 無増悪生存期間
    • [試験名] OPTIMAL、CTONG - 0802
    ■結果
    • 無増悪生存期間
      1. タルセバ:13.1ヵ月
      2. ジェムザール+パラプラチン:4.6ヵ月
        HR:0.16(95%信頼区間:0.10-0.26、p<0.0001)
    • 重度の有害事象
      • 「ジェムザール+パラプラチン」で多かった有害事象
        • 好中球減少症 42%
        • 血小板減少症 40%
      • 「タルセバ」で多かった有害事象
        • ALT上昇 4%
        • 皮疹 2%
     
     
    [Editorial]
    タルセバの進行性非小細胞肺癌1次治療については、タルセバの進行性非小細胞肺癌における適応は欧州医薬品評価委員会(CHMP)が肯定的意見を出したことを7月22日に発表したばかり。これはEURTAC試験(無増悪生存期間:5.2ヵ月vsタルセバ9.7ヵ月)に基づくもので、主要評価項目である無増悪生存期間を達成したことから、2011年1月28日に独立データモニタリング委員会が早期の試験中止を勧告しています。今回のOPTIMAL試験は中国版。日本では第II相試験中。中外製薬によると2012年度中に申請を目指すものと発表している。
     
     
     
     

    早期乳がんへの術後5年間のタモキシフェン投与は、15年間にわたって有用

    7月29日付のLancet誌オンライン速報版によると、エストロゲン受容体陽性の早期乳がんの術後補助療法としてのタモキシフェン5年投与は、15年間にわたって再発および乳がん死亡リスクを減少させることが20試験のメタアナリシスにより明らかにされた。
     
    ■対象
     
     早期乳がん 21,457例
     
    ■比較
    1. 術後補助療法(タモキシフェン5年投与)あり 
    2. 術後補助療法なし
    ■解析デザイン
    • 解析名:EBCTCG(Ealry Breast Cancer Trialists’ Collaborative Group) 
    • 解析試験数:20
    ■結果
    エストロゲン受容体陽性患者(n=10,645)における解析
    • 再発リスク減少度
      • 0-4年    0.53±0.03 (2p<0.00001)
      • 5-9年    0.68±0.06 (2p<0.00001)
      • 10-14年  0.97±0.10
    • 乳がんによる死亡リスク減少度
      • 0-4年    0.71±0.05 (p<0.0001)
      • 5-9年    0.66±0.05 (p<0.0001)
      • 10-14年  0.68±0.08 (p<0.0001)
    • 乳がん以外の原因による死亡リスク減少度:影響なし。血栓塞栓症および子宮がんによる死亡リスクがわずかに増加
    エストロゲン受容体陰性患者への効果:ほとんどなし 
     
    [Editorial]
    現在は、ホルモン療法単独が推奨されているのは低リスクの場合のみ。中等度、高リスクの場合は原則、化学療法後にホルモン療法が施行される。かつてはタモキシフェン5年投与が標準治療であったが、その後多くのホルモン療法の優位性が示された。しかしながら、術後にタモキシフェンを投与しないより、投与する方がさらに長期の予後を改善することが本解析において示された。
    現在、推奨されている術後ホルモン療法は、閉経後と閉経前では推奨治療が異なる。閉経後においてはアロマターゼ阻害剤が第1選択である。タモキシフェン2-3年投与後アロマターゼ阻害剤に変更して継続する方法、タモキシフェン5年投与後アロマターゼ阻害剤に変更して継続する方法も有効である。
    閉経前においてはタモキシフェン5年間とLHRHアナログ2年間の同時併用を行う。低リスクにおいてはタモキシフェン単独で治療可能である。

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