子宮頸がん検診 後進国 日本への警告
子宮頸がんのスクリーニングに関する発表が相次いでいる。New England Journal of Medicine誌10月18日号に発表された無作為比較試験の結果によると、30代半ばの女性に対する子宮頸がんのスクリーニングにおいてヒトパピローマウイルス(HPV)検査とパパニコロー(Pap)検査を併用することで、その後の検査で検出される子宮頸部上皮内がんの発生率が低下するとのこと。
対象
32~38 歳の女性 12,527 例
比較
1) HPV検査+Pap検査
2) Pap検査
試験デザイン
無作為化比較試験
結果
l 登録時に子宮頸部上皮内がん(グレード2/3)が認められた女性の割合:
Ø HPV検査+Pap検査がPap検査単独より51%高かった(95%信頼限界:13-102)
l その後のスクリーニング検査で子宮頸部上皮内がん(グレード2/3)が認められた女性の割合:
Ø HPV検査+Pap検査がPap検査単独より41%低かった(95%信頼限界:4-64)
l グレード3の病変が認められた女性の割合:
Ø HPV検査+Pap検査がPap検査単独より47%低かった(95%信頼限界:2-71)
N Engl J Med 2007;357:1589-1597
[私説]
子宮頸がんのスクリーニングにおけるHPV検査の有用性を認める成績が10月に入ってからLancet誌に1報、NEJM誌に2報と相次いで発表された。その3つの研究結果は次のようになる。
[1] HPV検査+細胞診
細胞診単独に比べて2回目以降のグレード3子宮頸がんの発生率が低下(Lancet → この記事を読む)
[2] HPV検査
細胞診(Pap検査)に比べてグレード2または3の子宮頸がん検出の感度が高く、HPV検査+Pap検査を併用した場合の感度は100%であった(NEJM 2007;357:1579-1588 → この記事を読む)
[3] HPV検査+細胞診(Pap検査)
細胞診(Pap検査)単独に比べて2回目以降のグレード2または3子宮頸がんの発生率が低下(NEJM 2007;357:1589-1597)
日本では子宮頸がんの検診受診率が低い。自治体による検診の受診率は14%であり、企業による検診を含めてもわずか22%に過ぎないのが現状。
さらに子宮頸がん検診では細胞診単独が中心である。細胞診によるがんまたは前がん病変の発見率はおよそ80%であるが、HPV検査を併用すると検診の精度がほぼ100%になると言われいてる。米国の子宮頸がん検診のガイドラインでは細胞診、HPV検査の両方が陰性の場合は、その後3年間は検診の必要がないとされている。このような現状から、日本における子宮頸がん検診は世界から取り残されていることは一目瞭然である。
今回、HPV検査の有用性を示す無作為比較化試験の結果が、NEJM誌、Lancet誌と言った名高い医学誌に立て続けに発表されたことを契機に日本も細胞診とHPV検査による検診の受診率が向上してほしい。
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